X'masの奇跡
「そんな理由が あったのですね」


「はい」


「こんな大切なお話しを聞かせていただいて」


「すみませんね、暗い雰囲気になってしまって‥」



莉菜の言葉に 桐島は、首を振る。




莉菜が桐島へと話をしている ちょうどそのとき、
優斗が やって来た。


桐島と並んでソファーに座る 莉菜の後ろ姿を見つけ、
歩み寄っていく。


そんなこととは露知らず、莉菜は、言葉を続けた。




「何故 こんな話をしたかと言うと、」



“ん?”

なんとなく何かを感じ、
優斗は 足を止めた。

“聞いちゃ良くない話か‥?”と、足が躊躇した。


こんなことは初めてで、莉菜の こんな雰囲気は初めてで、違和感を感じた。

思わず、立ち止まったまま。


すると、



莉菜の 涙声が 聴こえた。




「優斗に‥ 辛さや悲しみから 抜け出してほしくて‥



お母さん命日‥、12月25日を 大好きになってほしいんです。

優斗から お母さんの話を何度も聞いてきて‥
優斗本人は 後悔の話しかしないけど、凄くわかる。

優斗は、ママ大好きっ子だったから‥」





“!‥”


心の衝撃とともに 優斗に 瞬時に込み上げるものがあった。







莉菜の話に 桐島は、深く頷く。


「なるほどですね。

だから 同じ日にしようと‥」




「そうです。

彼は、ずっと 後悔してる。

12月25日が来るたびに、

深いどん底で

自分の後悔を 忘れられなくなってる。


お母さんを思い出すのに、辛く悲しみながら 思い出してほしくない。

お母さんだって、天国で そう思ってるはず。


だから‥


後悔や 辛さや悲しみなど吹っ飛ぶくらい、
12月25日が来るたびに いい想いになれる、
大好きに変わる、
そんな

最高で 素敵で 素晴らしい結婚式に していただきたい‥」












“莉菜‥ ‥身勝手で言ったんじゃなかったんだ‥”







優斗は、心震え

莉菜の想いを 初めて知ったのだった。





















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