ヤクザと少女
家出……?
………ハァハァハァ……
雨が降っているこの夜に私は母に逃がされた……一人で生きろと言われても、私はまだ高校3年生…一人でいきなり言われても無理な話……

どれくらい歩いたんだろう……

もう足の感覚がない…

もう歩きたくない…

足を踏み出した途端私は崩れ落ちた……そして私は倒れそのまま意識を途絶えた……

……………
目を覚ますと一度も見たことのない天井が見えた

ここはどこ……

上半身を起こし辺りを見渡していると襖が開いた


「目が覚めたか」

声がした方を見ると綺麗な黒い髪に引き込まれそうな夜の空の色の黒い瞳の男の人がいた……

「……どうした」

私は口を開け喉元をおさえる仕草をした

「…声がでないのか…?」

頷く、すると彼は私に待ってろと言い部屋をでて何かを持って戻ってきた

「これに書け」

持ってきたものはメモ帳と鉛筆だった、私はそれを受け取り戸惑いながらメモ帳を開き鉛筆をもった
彼は私の近くに座り私を見つめた

「名前は?」

(花園杏奈)

「花園?お前あの有名な花園裕貴の娘か」

コクっと頷く

(でも私はあの人の本当の娘じゃない…)

「本当の娘じゃない……どういう意味だ?」

(私は……あの人の妻の浮気相手との娘……)

「……?」

(私はあの人と血が繋がっていない…)

「あいつの嫁の浮気相手との子か……その浮気相手は……」

(この髪と目を見て分かりましたよね……ロシア人です)

「お前はハーフなんだな……」

(はい……でも母は本当は私の本当のお父さんと結婚してたんですけど……あの人が母に惚れて無理やり離婚させ結婚したんです……その時からすでに私は母のお腹の中にいたんです……だからあの人は私が邪魔なんです……)

「だから逃げてきた…のか?」

(いいえ……母があの人が私に暴力を振るうのを見てられなくて逃してくれたんです…)

「そうか……だからお前には痣があったのか……」

(……見たんですか!!)

「なっ!お前を着替えさせていた女中に聞いたんだよ!」

(そうですか)

私が下を向くと彼は私の頭に手を置き、慣れてないのかギクシャクした動きで私の頭を撫でてきた

「行く場所のあては?」

ふるふると首を振ると彼は立上り私を見下げた

「なら、当分のあいだここに住むか?」

ビックリして彼を見上げた

(いいんですか?)

「あぁ大丈夫だ」

(なら…よろしくお願いします)

そう書いた私の頭をなで寝ろと言い部屋を出ていった

そんな彼の後ろ姿を見て下を向いた

((これからどうなるんだろ……))

そう思いながらまた布団に横たわり目を閉じた……




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