こっちむいて?羽生
まだ全然気持ちの整理なんかついてないけど、私が頷かなきゃいつまでも解放してくれそうにない。


美羽はホッとしたように頷いて、私の腕から手を離した。


それからゆっくりと立ち上がると、私の肩を励ますようにポンと叩く。


「じゃあ、私、羽生くん呼んでくるね?」


そう言って教室を出ていく美羽の後ろ姿を見送りながら、少しだけ心細くなった。


美羽に告白した訳じゃなかった。


けど聞きたいことってなんだったんだろう?


私ならわかるって美羽は言ってたけど……


羽生の顔、ちゃんと見れるかな?


あんな態度とっちゃったから、正直気まずい。


膝に置いた手をキュッと握りしめて俯いたとき、誰かが教室に入ってくるのがわかった。


きっと羽生だ。


そっちを見れないまま、自分の拳を見つめていると、さっき美羽が座ってた椅子がガタンと動いた。


「感傷的になっちゃったんだって?」


からかうような口調はやっぱり羽生だ。


椅子の背もたれを前にして、そこに腕を乗せてる。


「別に……そんなんじゃ……」

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