こっちむいて?羽生
「なっ!なにがそういうこと、よ!

順番違くない?」


我に返ってそう叫ぶと、羽生は悪びれた様子もなくニヤッと笑う。


「だって、お前の好きなやつって俺だろ?」


「……ッ!!」


ありえない!ありえない!なにこの展開!


美羽と比べる訳じゃないけど、告白の仕方が全然違うじゃん。


「あたし、帰る!」


本当は嬉しかった。


羽生も私を好きでいてくれたことが。


だけど、突然キスされてどんな顔していいかわかんない。


照れ臭いのと、美羽と差があることにちょっぴりムカついたのとで、羽生を振り切って帰ろうとする。


「ちょっ!待てよ!」


慌てて追いかけてきた彼が、私の腕を勢いよく掴んだ。


「離して!」


「やだ、離さない

お前の口からちゃんと気持ち聞くまでは……」


教室の入り口付近。


誰もいない校舎に二人きり。


羽生と私の声が妙に響いて、恥ずかしくなった。


私は彼に背を向けたまま、彼の手を振り払えないでいる。


「俺のこと、嫌い?」


嫌いなわけない。嫌いならあんなに長い間、側になんかいない。


「俺は……愛里が好きだよ?」


羽生の私の腕を掴む手が震えてる。

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