眠り姫に恋したのは年下御曹司
「やっと手に入れた女を手放すわけない。」


「…………。」


「やっと触れられる距離になれた莉乃を手放すわけない。」


「…………。」


「だから今日も絶対に帰さない。」



陽平が顔を一気に近づけてきて驚いた。


頬を掴まれた私は身動きできない状態だ。



「キスするよ?莉乃が帰るなら。」


「えっ?」


「莉乃、帰るの?」


「…………。」


「めちゃくちゃ注目されてるよ?俺たち。」


「…………。」


「莉乃、どうする?」


「分かったわよ、帰らない。」



陽平がニヤリとする顔が目の前から離れていく。


周りを見渡せば、本当に注目されている。


陽平が肩を抱き寄せて大通りに近づいていくと、手を上げてタクシーを止めようとする。


タクシーが目の前に止まれば、陽平が私を先に押し込めるように乗せる。


隣に陽平が座ると実家の場所を説明し始めた。


やっぱり実家に行くらしい。


私は諦めて大人しく陽平の実家に向かう事にした。
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