眠り姫に恋したのは年下御曹司
大樹と別れてから一度も顔を合わせていない。


同期の大樹とは休憩室で話しているうちに仲良くなった。


同じように喫煙組の同期で遊びに行くようにもなった。


縮まる距離に私達は付き合い始めた。


でも大樹は京都へ異動となり、あの日の別れが私の胸を激しく抉った。


大樹の愛は一瞬で壊れた。


私も大樹との思い出はすべて忘れる努力をしてきた。


部屋にあった大樹の物は勝手に捨てた。



『俺は後悔してる。』



今更遅い。


もう二年も前の話だ。


私がどんだけ傷ついて泣いたのか…………アイツは知らない。


思い出すだけで泣きそうになる。


それほど辛い想いをした。


会いたくなかった。


まさか研修の講師として再会するなんて思いもよらなかった。


あの日が一気に蘇ってくる。


私は唇を噛み締めた。



「もう遅いよ。」



独り言が呟かれていた。


9年目の始まりは最悪の日になった。
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