眠り姫に恋したのは年下御曹司
根に持ちたくないが、やっぱり根に持ってしまっている。


裏切られた私が根に持つのは当然か?


でも口には絶対に出さない。


責めれば私がまだ気にしていると思われるだろうから。



「何人か決まったら教えて。」


「莉乃、昔みたいに2人でやればいいだろ。」


「…………。」


「本当はまだ俺との事を引き摺ってる?」



引き摺ってなんていない。


もう終わったコトだ。


でも2人で並んで歩けば思い出してしまう。


忘れたい思い出なのに、全然忘れられないでいる。



「こうやって何度も一緒に帰ったよな?」


「…………。」


「思い出すな、莉乃と一緒にいた頃を。」



大樹も忘れていない。


でも裏切られた私はドン底を味わったんだ。


京都まで会いに行って、そのまま引き返して東京に戻ってきた。


新幹線の中で泣きたいのに、人目が気になって寝たふりで誤魔化していた。


辛くて情けなくて消したい過去なのに。
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