眠り姫に恋したのは年下御曹司
「莉乃、彼女を紹介するのは初めてだから。ねぇ、お袋。」


「ふふっ、この歳で初めて紹介してくれて嬉しいのよ。」



陽平に心の中を見透かされた。


初めて?


こんな好意的なのに?



「やっと見つけたんだ。俺の彼女。」


「ふふっ、綺麗なお嬢さんだし、礼儀もキチンとしてらっしゃるし。」


「お袋、これからも莉乃をよろしく。」


「ええ。」



陽平とお母さんのやり取りを一人聞いている。


その内、朝ごはんが運ばれて来た。


美味しそうな料理にお腹が急に空いてきた。



「くくっ、莉乃可愛い。」



料理を見すぎていたのを笑われたらしい。


私は陽平ににっこりと微笑んだ。



「あまりに美味しそうだから。」


「くくっ、本当に度胸があるね、莉乃。」



意味不明な陽平の視線が私の着ているTシャツに向けられる。


すっかり忘れていたが、陽平のTシャツを着ていたんだった。


ちらりと奥様を見れば、ほんわかとした雰囲気を醸し出している。


すっかり陽平のペースだ。


私は美味しそうな朝ごはんに手を伸ばした。
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