眠り姫に恋したのは年下御曹司
泣きそうな心

過去は過去

いつもの風景がある。


揺れる電車で眠る彼女、隣には彼女を幸せそうに見る彼氏の姿が。



「本当にいつも眠ってるね。」



この言葉もいつも聞かれる。


毎日の残業で疲れている彼女が気持ち良さそうに眠っている。


そんな彼氏も毎日の残業で疲れている筈なのに、彼女を見て楽しんでいる方が優っているようだ。



『濱谷町、濱谷町。』



電車のアナウンスに動き出す彼女。


隣ではクスクスと笑っている。



「莉乃、乗り換え。」


「うん。」



年上の彼女には見えない。


本当に可愛い。


通勤で混雑するホームを歩く。



「今日も遅くなりそう。」


「そっか、わかった。」


「企画書が大詰めで会議ばかりだ。」


「大変だね、陽平も。」



今朝も2人で仲良く通勤する。


当たり前の光景になりつつあった。


不安なんてない、安定した日常が過ぎていた。
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