眠り姫に恋したのは年下御曹司
山中と同じ話題だ。


後輩達は誕生日を覚えててくれてるみたいだ。


少し気分も上昇する。



「もう30だよ。」


「彼氏さんと?」


「どうかな?仕事が忙しいみたいだし。」


「それ言い訳でしょ?」



池田さんを見れば、同じように私を見ていた。


その視線が少し怖い気がした。


自分が押し込めていた感情を掘り返されるような気がする。




「それ言い訳ですよ、片桐さん。」


「…………。」


「仕事って言えば何も言わない片桐さんに甘えてるだけです。」


「でも本当に仕事かもしれないし。」


「彼女の誕生日を忘れる男が片桐さんを好きだと思います?」


「忘れてるとは限らないから。」


「片桐さんなら文句言わないと思ってるんじゃないですか?甘やかし過ぎじゃないです?」



池田さんが立ち上がる姿を目で追い掛ける。



「私の彼はストーカー並みに束縛します。でも今の片桐さんよりマシです。だって放っておかれるのは愛を疑いますから。」



池田さんがオフィスへ戻って行く姿を目で追い掛ける。
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