葵くん、そんなにドキドキさせないで。


その仕草がなんだか色っぽくて。

しかも突然のことだったから思わず目を丸くした。

顔を覗き込んでくるから距離も近いし……。





「あ、葵くんが、」


「俺が?」





葵くんは、私の好きな人だもん。


こんなことをされたらどうしたってドキドキしちゃうでしょう?



せっかく涼んでいたのに。

顔が熱くなっていくのがわかる。






「……葵くんが、結んでないほうが好きって……」






小さくそう言った。

恥ずかしくて顔をそらす。





「ふーん?」





長い髪を耳にかけて、フッと小さく笑った。





「……いい子じゃん」


「こ、子ども扱いやめてってば」




やっと私から離れた葵くんに、はぁーと息をついた。


本当にこの人といると心臓がもたないよ……。


< 198 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop