葵くん、そんなにドキドキさせないで。
最初は遊ぼうとしてたくせに。
「……あーあ」
先輩に気づかれないように小さく呟いた。
『そんなのっ、ひどい……』
絶対、嫌われたよなぁ。
「あ、カラオケとか行く?」
「……先輩」
会いたかったよ、先輩に。
一番、俺と遊んでくれてたからね。
不思議そうな顔で俺のことを見る先輩に、笑ってみせた。
「俺、もう先輩と遊ぶのやめる」
「……は?」
「それだけ言いたかっただけだから」
じゃ、と組まれていた腕をスルリと離す。
……ごめんね、とか、絶対言わないよ。
俺にキスされたこと、忘れなければいい。
俺のことだけ考えて、
それで、
三河のこと好きでいるの、やめちゃえよ、華子ちゃん。