意地悪な集団
後ろを向いて、次の順番の朱莉に合図をした。
朱莉が走ってくる。

ドンッ
朱莉も軽々と8段を飛び越えた。

それに続いて恵里奈も走って跳び箱を飛び越えようとしたが、跳び箱の上にまたがった状態で止まった。
「うわー、うち、跳べないよー。やっぱ8段はレベル高いかも」
そう言いながら、跳び箱から降りた。

「ま、どんまいでしょ!」
朱莉が笑いながら恵里奈を励ます。
その時、体育館にドーンと大きな音が響いた。

跳び箱の方に目線をずらすと、末明が跳び箱を越えたところで、転んでいた。

「だ、大丈夫?」
「あー、痛いけど大丈夫だよ。正直、跳び箱苦手なんだ」
末明が膝を抱えながら、言った。

「無理しなくて良かったのにー」
「うん、6段にするか迷ったんだけど、一度だけ8段跳んでみよーかなって跳んだら、こんな状態」

「大丈夫かー」
鎌田が小走りでこちらへと向かってくる。

「転んだだけなんで、平気です」
そう言って、末明は立ち上がった。
「多分、手のつく位置が手前すぎたんじゃないのか?どうだろ」
「・・・さぁ?」
末明は首を傾げた。

「先生、末明は、もともと跳び箱苦手なんです。手のつく位置とかは、関係ないと思うんですけどー」
朱莉が横から口を挟んだ。
「そうか。なら余計だったな」
「全く、その通りですね」
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