意地悪な集団

「うん、あれはビックリ」

「保健委員は・・・卓巳とぉ・・・」
「先生！朱莉ですよ。ちゃんと覚えておいてください。忘れられた朱莉がすげー、かわいそうだと思います」
鎌田は朱莉が保健委員だということを忘れているようだったので、私が小走りで鎌田と晴香のほうへ行き、そう言った。

「あぁ、朱莉だったな。晴香を保健室まで運んでくれないか」
「え、それは断ります。だって、損するわけですよね」
「損？」
「はい。卓巳と私だけ授業を抜け出すってことですよね。せっかくの体育なのに授業に出れないのは、けっこう損しちゃうんですけど・・・」
「少しの時間だから、そんなに変わらないだろ」

鎌田の言葉に少し厶カッと来た私は話しに割り込んだ。
「生徒にとって授業というものは大事ですよ。それぐらいなら、教師でもわかるでしょ！空気については全く読めない人でも」
「・・・そうだな。じゃぁ、先生が連れてくから、練習続けてくれ。あと椿、最後の方は、意味がわからないんだが、あれはどういう意味なんだ？」

「あー、あれね。あれは何でもないですよ。気にしなくていいです」
「何でもないことは、言わないようにすることだな」
「それぐらい気づいてますよ。たまたま口に出ちゃっただけです」
「そうか、なら気をつけること。じゃぁ、さっきの練習を続けてくれ。早めに戻ってくるから」
「「はーい・・・」」
生徒のダラしない返事で頷き、鎌田は晴香を連れて体育館を出て行った。

「ちょっと結衣！あれはナイスだったよ」
「えっ、何が？」
朱莉の急な褒め言葉に驚いた。
最初は何のことか分からなかったけど、ようやく分かった。

「あー、あれねー。だってほんとにウザかったからさ！あーいうのは得意だったりぃ！？」
「りぃ！？って！結衣にしては、勉強と比べもんにならないくらい得意でしょ！」
「そりゃぁ、もちろん！よしオモシロ映像も見れたし、練習も真剣に取り組まないとねー」