宮花物語
第14章 偽りの子
誰よりも甘い夜を過ごした白蓮だが、だからこそ確かめたい事があった。

朝、皆が集まりお祈りを捧げた後、白蓮は黒音を呼び出した。

「黒音。昨日お腹のお子を診た医師が、もう一度診察したいと言っているのです。」

「医師が?なぜですか?」

昨日診たばかりだと言うのに、一体何を診るのか、黒音は心配で仕方がない。

「……お腹のお子に、何かあったのですか?」

黒音の震える声を聞いて、信志が近づいてきた。


「どうしたと言うのだ?」

黒音はこれ見よがしに、信志に寄り添う。

「昨日お腹のお子を診て頂いたばかりですのに、もう一度診察したいと仰ってるんです。」

信志は、白蓮の方を振り向いた。

「……今日ではないといけないのか?」

信志が黒音の代わりに聞いた。

「王。こればかりは、先に延ばせません。黒音のお腹の子は、この国の明暗がかかっているのです。」

真っすぐに信志を見つめる白蓮。
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