宮花物語
「そうなのね。王宮に着いたら、仲良くしてね。」

「はい、お妃様。」

黄杏と黒音で、クスクス笑っているところに、信志がやってきた。

「信寧王様。」

お付きの者が皆、頭を下げてた隙に、信志は黄杏の手をとった。

「なんだか、こんなに近くにいると言うのに、久しぶりに顔を合わせる。」

「仕方がありません。村を発ってから、昼間にお会いする機会など、ございませんでしたから。」

見つめ合いながら、微笑んでいる王と黄杏の姿に、周りに控えているお付きの者達の方が、照れてしまう程。

「あと1週間も、このような状態が続くのか。」

信志は、ため息をついた。

それを見た忠仁は、静かに王に近寄った。

「如何でしょう。晴れた日も続いている事ですし、黄杏殿に、共に馬に乗って頂きますか?」

「黄杏を馬に?」

断ろうとした信志を遮るかのように、黄杏が前に出た。

「はい!王と一緒に、馬に乗ります。」
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