キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


胸の奥が苦しく、切なく、痛む。
私は軽く唇を噛んだあと、口の両端を持ち上げるように笑って、私に「生きて」と涙を流す隼人くんの頬に空いている手を伸ばした。



「泣かないで」



どうか、泣かないで……。



「ごめんね」



ごめんなさい。悲しませてしまって。

本当に、申し訳なく思ってる。

私も悲しい。隼人くんと歩める未来がないこと、それが今はたまらなく苦しい。



「私も、隼人くんが好きだよ」



微笑むと、私の目からも涙がこぼれた。


あぁ、もう、伝える気なんてなかったのに。


どうしてこんなに心惹かれるんだろう?



「でも私は消えちゃうよ……っ」



きみに出会う前に、未来で、死んだ。死んで、しまった。



「好きなのに、ごめん……っ」



生きられなくて。


──死ななければよかった。


生きてきみに出会う運命はなかったのかな。
私たちは最初から、こんな運命だったのかな。


恋をして、さよならをする、残酷な運命。


いじめられていた私は知らなかった。


世界には彼みたいな優しい人がいること。人を好きになると、世界が明るく輝くこと。好きな人に明日も会いたいと、明日を迎えたくなること。生きたくなること。


世界中の人が敵だらけでも、どんなに嫌なことがあって死にたくなっても、好きな人に好きだと言われたら、生きていく勇気がわいてくること。


未来が、楽しみになること。



「ははっ、俺たち泣き虫だ……っ」

「ほんとだよ……っ」

「こっち向いて?」


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