Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
部屋着に着替え、始の所に戻ると、友梨佳はそっと始の隣に座った。
「友梨佳はお母さんの再婚に反対なの?」
「わからない。反対ではないの。でもあんなに男は信用できないって言ってたのに。お母さんの女の顔を見たら、なんか混乱しちゃって……。今までの私はなんだったの?って恋愛なんかしちゃだめ。男も信じるなって言って私を育てたお母さんがどうしてって」

始は、友梨佳に呪縛をかけたのは母だったことに気づいた。
悪気もなかったんだろうが、小さい友梨佳にいつも男の人なんて信用するな。結婚なんて最低だそう言って友梨佳と手を取り合って生きてきたのだろう。

「そうか」
今の友梨佳に何かを言っても混乱するだけだろうと、始は友梨佳をそっと抱きしめた。

「あっ……始。本当に私の我儘でごめんなさい。……する?」
友梨佳は始を呼び出すときは体の関係を持つ時だけそう思っていた。
「バカ」
始はそれだけ言うと、友梨佳を抱きしめたままソファに横になった。

「眠るまで側にいるから」
その言葉に友梨佳は驚いて目を見開いた。
「必要な時に呼べって言っただろ?SEXするために呼べなんて俺は言ってない」
その言葉の意味が友梨佳には分からなかったが、温かい始の腕に安心して眠りに落ちた。

「友梨佳……お前も少し前進だろ。俺を頼ってくれた……」
そう始は呟くと、眠りについた友梨佳をベッドに運び額にキスをすると、友梨佳の部屋を後にした。


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