烏丸陽佑のユウウツ
・付かず離れる…。

はぁ…。何も…溜め息をつく事もないんだけど。
…そうだよな。
どういう取り決めで生活してるか知らないが。
家賃を払うと言えばいらないと言われるだろうし。じゃあ、せめてご飯は作らせてくださいと言うだろうし。

そしたら、朝は朝で準備して一緒に食べ、夜は先に帰ってご飯を作って部長さんの帰りを待ち…だ。改めて夜、外出するような事はしないだろう。プライベートはプライベートだ、干渉する訳ではないと、部長さんはきっと言うだろうが、例えば出掛けたとしても、…ここには来ないだろう。
あれ以来、梨薫ちゃんは来なくなった。来る必要の無い環境に居るって事だ。

…。

こうやって変化して、全てフェードアウトしていくモノだ。


「こんばんは」

「おぉ、いらっしゃい」

「んー、…ブルドック、お願いします」

「ん」

…。

「…どうぞ」

「有り難うございます。…はぁ、特に…変わりないですからね。…陽佑さん、知らせなくていいって言うから。ずっと連絡してないですけど」

「知らせるような動きもないって事じゃないか」

「はぁ…まあ…そうなんですけどね。
解りません。会社で見る分には変わりないという事です」

「そうだな」

「もう…また…そんな風にあっさり…。
二人共、特に部長は大人だから、解りません俺には。ただ…」

「周りが変わって来た」

「はい、その通りです。直接口に出す人間は居ませんが…あの二人どうなのって感じでざわつき始めた気はします」

それは部長さんにとっては願ったり叶ったりといったところかな…。
勿論、それを狙ってしていたという事でもないだろうが。
自然にしていた成り行きだと思うが。

「それで黒埼君的にはどうしてるんだ。野放しでいいのか?
ピンポンはどうした。しに通ってるのか?あぁ、住所、知らないんだったよな」

「…流石にそれはしてませんよ。…そんな…子供っぽい事出来ませんよ。
でも、住所は解りました」

「じゃあ、俺が行くか…」

「……え?」

「俺が行くから教えてくれ」

「……え゙!?」
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