10年経っても
【14歳】

-はじまりの日

『亜美は、好きな人いないの?』

そう聞かれて、ついにこの時がきたかと、私は開き直りに似た感情を覚えた。

『みんな言ったんだからさぁ〜』

周りの皆が、にやにやしながら私を見ている。

修学旅行、1日目の夜。

女6人の私たちの部屋では、修学旅行恒例とも言える『好きなひと暴露大会』が開催されていた。

中学3年生の私たちにとって、恋バナは3度のご飯よりも空腹を満たすごちそうだった。

『まっ、隠してもわかるけどねぇ〜』

6人の中でも、一際大人びたアヤが笑う。
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