番犬男子





……間違いない。


ここは、倉庫だ。





確か、地図上では、倉庫はこの街の西側にも東側にもある。


でも、あの強盗犯たちが反対側まで移動するとは考えられない。




あたしは、双雷を呼び寄せるための人質。



だったら、なおさら、双雷がすぐに来れるように、東側ではなく双雷のたまり場がある西側に留まるはず。


それに、東側までの長い道のりを、気絶したあたしを連れて移動していたら、誰かしらおかしいと感じるだろう。



リスクを最小限に考えたら、やはり、ここは西側の倉庫である確率が高い。





シャッターの向こう側から足音が耳をかすめて、咄嗟に瞼を固く閉じた。



「追っ手は来てねぇみてぇだな」


「お前がバイク乗ってて、ほんと助かったぜ」



バイク男と強盗犯の声だ。


2人が倉庫内に入ってきて、足音が反響する。




< 154 / 613 >

この作品をシェア

pagetop