番犬男子




あたしは、妹として「蚊帳の外に置かないで」とわがままを言ってるんじゃない。


1人の仲間として、風都千果という人間を使ってほしいの。



お兄ちゃんはしばし沈黙して、ガシガシ後頭部をかいた。



「わかった」


「本当!?」


「ただし、無茶だけはすんなよ。危ねぇと思ったらすぐ逃げるんだ。いいな?」


「OK!わかった!」



周りを見渡すと、お兄ちゃんだけじゃなくみんなもため息をつきたそうな、それでいて背中を任せてくれたような眼差しであたしを見ていた。


あたしも、みんなに背中を任せるよ。



絶対に勝とうね。




「ぜ、全部わかってんなら話は早ぇな。行くぞ、てめぇら!!」



ずっと存在を無視されて腹を立てる強盗犯に、不良たちが「おう!!」と負けん気の強い声を上げた。



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