2・動物園の思い出
 * * *

小学6年生に進級してから1ヶ月が経ったくらいの帰り道だったと思う。

「修学旅行か…」

隣を歩いていた豪が呟くように言った。

一緒に話していた内容は2週間後に控えている修学旅行のことだった。

「豪くんは行くの?」

ひかるは聞いた。

「行けないかな、お金がないし」

豪はそう答えると、息を吐いた。

「そっか、仕方がないね」

ひかるは返事をすると、
「じゃあ、あたしも行かない」
と、言った。

「えっ、何で?」

豪が訳がわからないと言うように、ひかるに聞き返した。

「おばあちゃんも無理して行くことはないって言ってたもん。

豪くんが行かないなら、あたしも行かない」

ひかるは笑いながら答えた。
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