愛を知らない一輪の花
熱い想い

転びそうになりながら、タクシーから降りホテルの中に入る。

ロビーには大勢の人がいて、きょろきょろと蓮の姿を探す。そこで、ソファーで向かい合って座っている男女を見つけた。


綺麗な女性の向かいに座る男性の後ろ姿に、百合は確信した。あの大きい逞しい背中に何度も手を伸ばしたんだから、間違う筈がない。

楽しそうに笑い合う男女。

すると女性が立ち上がり、男性の腕を取り、席を立つよう促す。


その姿に、何かが弾けた。

「だ、駄目です!!!」
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