初恋
先輩
高1の春




初めて好きになった人と結ばれた。
嬉しくて嬉しくて
何が起こったのかもわからなくて、


プルルル、


「はい。」





『あ、帰った?』

電話になるとすごく低くなるこの声が落ち着いてて、聞くたびに口の端が無意識に上がってしまう。



悟られまいと平然とした態度をとる


「帰りました。」





『おかえり。今日めっちゃ緊張したよ』



顔が熱くなっていくのを感じ取りながらも絶対悟られまいと動じない声で話す



「私もすごくびっくりしましたよ、まさか告白されるとは思ってなくて」






『まあそりゃあそうだ。けど本当だったら桃が最初に告ってきたんだけどね』

クスクスと笑う先輩


まだ聞き慣れない桃って呼び捨ても、不意ににやけてしまう。
電話で見えるはずのない表情はひどく感情を物語っていて、


「あ、あれは、ちがいますもん、」





『えー。先にLINEで好き言ってきたのだれだろ〜?』




そう、最初は私からだった。
無意識に指が動いていて、気付けば遅し。

けど今日放課後、呼び出されて告白された
返事はもちろん 「はい。」


(やばい、顔がいま絶対真っ赤だ)



『桃ー?お前絶対顔赤いだろ』





「っ、そんなこと」


超能力者か。
そう思うのはきっと私だけじゃないはず、




『桃、可愛いの。好き』





「えっ、な、なにをいきなり、」



(なにを言い出すかと思えば、なに言ってんだこの人っ、)


もう口の端が上がりっぱなしの顔を両手で抑えながらも顔が熱くなるのを確認した



『照れた?ははっ』


ずるい、そう思ってしまう。この人のペースで乱されるのはちょっと腑に落ちない



「星先輩、」





『ん〜?』



ほんと相変わらずの上機嫌だ。




「……っすき。です」





『………初めて直接言ってくれたね。俺も好きだよ、好き好き好き』



っああ、やっぱりこの人には適わないみたいだ、



「っ、、おやすみなさいっ」



鏡に映る自分が女の子みたいな顔をしてて、別人のように見えた。
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