永く青い季節 〜十年愛〜


滞りなくイベントが終わり、スタッフを努めた従業員の打ち上げが始まった。


イベント中はお互い忙しかったので、彼と話すのは業務連絡くらいだったし、宴会も大人数で、席も離れていた。

普段、あまり顔を合わせない部署や、系列店の社員も居るので、挨拶をした後、話し込んだり、その合間に料理に手をつける…
の繰り返しで、二時間ほどが経っていた。



同じ部署の先輩男性社員の山口さんは、いつも明るくて面倒見の良い人だ。
お酒が入ると、その明るさに拍車がかかる。
その山口さんが、彼の周りで何だか盛り上がっていて、突然私の名前を出したのが聞こえ、私はそちらの方に目をやった。


「お〜い、槙野、ちょっとこっち!」

目が合った私にそう言って手招きをするので、私は彼の隣にいる山口さんの近くに行った。
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