永く青い季節 〜十年愛〜



どちらが先に手を伸ばしたのか、わからない。

まるで磁石が引き合うように唇が触れ合っていた。



彼の背後で、ドアがバタンと閉まる。

彼の片手は私の首筋から後頭部を、もう一方の手は背中を強く引き寄せていて、
私は少し背伸びをして、彼の首に両手を絡めていた。



長いキスの後、彼の胸と腕に包まれる。
私は目をきつく閉じ、優しく、温かく、懐かしいその胸にただ身を委ねていた。


「幸…」

思わず名前を呼んだその声に、彼はハッとしたように身体を離した。

「ごめん」


謝らないで…
私は今、もっと酷いことを貴方に言おうとしているのに。

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