永く青い季節 〜十年愛〜




あの雨の日の出来事が、まるで甘く素敵な夢だったかのように、それからの毎日は平凡だった。

彼に顔と名前を覚えて貰えたことはとてもラッキーで、部活で会えば挨拶もしてくれるし、目が合えば笑顔を見せてくれるようになったので、それだけでも幸せだと思わなければならないのだが…。


やはり、隣のコートでマネージャーと親しげにしている様子を見てしまうと、この体育館に引いてあるただの線でしかない筈のラインが、‘’境界線‘’ として決して越えられないものに思えてしまうのだ。




一学期が終わり夏休みになっても、部活はほぼ毎日あり、暑い中での練習は大変だったが、同じ部活でもなければ、毎日顔を見る事はできない。
長い夏休みを悶々と過ごす事を思えば、キツイ練習だって全然平気だ。
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