永く青い季節 〜十年愛〜




年が明け、四ヶ月振りに彼と会えた。
普段電話で話しているのに、夏休みのあの五日間ぶりだと思うと、何だか妙に緊張した。
 


やっと会えたというのに、それは三日間という短い時間。
明日、彼は東京へ戻って行く。

前日の夜から急に寒くなり、時々少し雪がちらついていた。
一日デートを楽しんだ夕方近くになり、彼が高校の近くを歩いてみたいと言い出したので、電車に乗り、懐かしい駅からの道を二人で手を繋いで歩いた。

冬休みで施錠されていたので、校内には入れなかったが、高校の周りをぐるりと一周してみる。

初めて彼を知った体育館も、
三年間過ごした校舎も、
彼の姿を最後に見たグラウンドも、
何も変わっていなかった。
 
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