永く青い季節 〜十年愛〜



また彼と離れ離れの生活が続いた。

春休みにも、数日間ではあったけど帰省した彼と会い、満開の桜を見に行くこともできた。


「次は夏休みになっちゃうけど、今度は美織が東京においで。
大きな花火大会があるから、一緒に見に行こう」

彼は、新幹線に乗る前にそう言った。




数週間後、彼からのLINEを見て、私は思わずスマホを落としそうになった。

「花火大会の日、こっちに泊まれるかな…。会場はすごい人混みになると思うし、美織が平気なら近くまで行ってもいいんだけど…。
バイトの先輩に、部屋から花火がよく見えるホテルを教えて貰ったんだ。美織が大丈夫なら、そこを予約しようと思う」

全く考えないではなかった。
夜の花火大会を最後まで見るなら、きっと新幹線の最終には間に合わない。
彼はどういうつもりで…と。
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