永く青い季節 〜十年愛〜



花火大会とその翌日はバイトも休みにしていたので、予定通り東京へ行き、彼の入院している病院へ向かった。



「ごめん、美織。こんな事になっちゃって。2点差で残り時間も僅かだったんで、ムキになってちょっと攻め過ぎた」

ベッドの上の彼は、左足の膝下にギプスがはめられていて、元気に喋っているものの痛々しい。

「相手チームの中をガンガン攻めて突っ切って行く幸、カッコ良かったもんね〜。
大学での試合も、一度見てみたいと思ってたんだけどな」

「結局、このザマだよ。見られなくて良かった。
でもまぁ、試合に勝てたのが唯一救いだったんだけどね」

「…どんな幸でも見たかったよ。苦しんでる時に側にいたかった」

彼の手を両手で握り、私は呟くように言った。
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