永く青い季節 〜十年愛〜



『青天の霹靂』
という言葉は、こういう時に使うのだろう…
と、あの時、私は混乱する頭の中で考えていた…。






病院をあとにして、少し道に迷いながらもやっと彼の部屋に辿り着き、鍵をガチャリとキーホールに差し込む。



帰り際、彼に部屋の鍵を手渡された。
何だか彼には不似合いな可愛らしいキーホルダーがついているのを見て、私は思わず吹き出した。


「何これ。意外に可愛いのつけてるのね?」

「あ、それ…美織のだから」

一瞬、意味が分からず彼の顔を見る。


「合鍵。貰っといて。
これから美織がこっち来る時、俺が練習やバイト中でも待ってられるだろ?」

「何それ。勝手に来て、ご飯作って掃除もしといて…的な?」 

「いやいや、そんなつもりは…」

照れ隠しに言ってみただけなのに、真に受けた彼は少し困った顔をした。


「冗談よ。すっごく嬉しい!」
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