【完】こちら王宮学園生徒会執行部

・女王様の、裏の顔




◆ Side夕帆



事の発端は、すごく些細なことだったと思う。



「何見てんの?」



家に遊びに来たいくみが、リビングのソファでゆったりと何かのページを捲ってる。

買ってきただけのおつまみを皿に移したものをテーブルに運びながら、心做しか嬉しそうなその表情を見て尋ねた。



「卒アルよ、卒アル」



「誰の?」



「夕帆の」



なんで持ってるんだ、とは、さすがに言わない。

俺といつみがずっと一緒に育ってきたことを考えたら、その姉が弟の卒アルを持っていたってなんの不思議もない。




「別に見ても面白くないと思うけど」



「そう? 可愛いわよ」



誰が……?とは、一々聞かない。

聞いたところでこのブラコンが弟の名前を口にするであろうことは、分かりきっているからだ。



「いくみ、お前の好きなタコときゅうりのキムチ和え」



「ありがとう夕帆」



酒片手に、おつまみを口へ運びながら卒アルを見るいくみ。

……どうでもいいけど、それ家で一人のときにやれば良くね?



せっかく俺と一緒にいるのに、なんだか話し掛けても上の空。

時々卒アルを見て、「やっぱり可愛いわ…」とつぶやく相手は間違いなく大好きな弟。



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