【完】こちら王宮学園生徒会執行部
頼みすぎなんじゃ、とは思わなくもないけれど。
そこは男子高校生。あっという間に消費していく。
「ぼんやりしてたらなくなるぞ」
くつりと笑ってわたしの頭を撫でるいつみ先輩。
お昼前に先輩ふたりを呼び戻したけれど、休んでもらったおかげか、さっきよりも少し顔色が良くなったような気がした。
「わたしはみんなと比べたらそんなに食べないもの。
いつみ先輩こそ、ちゃんと食べて」
なんというか。
もともと食事に関しても睡眠に関しても興味がない彼を見て、今までよく生活できていたものだと感心してしまう。
まあ3年間はC棟の部屋で暮らしていたんだから、みんながまったく気にかけていなかったわけではないだろうし。
おそらく椛が食事を作って……ん?
「どうした?」
ぴたりと動きを止めたわたしの表情を覗き込む彼。
その距離に「近い」と言うよりもはやく、頭に浮かんだ疑問を思わず口にしていた。
「いつみ先輩って……
1年生のときは、食事どうしてたの?」
よくよく考えれば、わたしと椛は同い年だ。
しかも夕帆先輩と椛は弟同士を介して出会ったわけではなかったはず。
ならば、彼はどうやって生活していたのか。
ジッと、いつみ先輩を見据えれば。
「あ? 言ってなかったか?」
「……?」
「1年のときは実家から通ってたんだよ。
つっても、忙しくて家に親いねえから、実質いくみとふたりで住んでたようなもんだけどな」