【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「っていうか、いつみ先輩も人のこと言えないぐらい面倒くさがり屋ですよ」
「でも最低限の生活はできてるだろ」
「最低限のラインが低すぎることに気づいてもらっていいですか」
最低限と言ったらこの人は本当に最低限の生活しかしない。
本当に困る、と。ふっと息をついたわたしを細めた目で見た彼は。
「いいんだよ。
その分、お前がちゃんとやってくれてんだから」
愛でるような甘さを孕んだ声で、そう口にする。
……っ、違う! 確かにやってあげてるけど!
わたしが言いたいのは、自分でもなんとかできるようになってほしいってことで!
「それとも。……頼られるのは嫌か?」
どうせ微塵も心配なんてしてないくせに。
ちょっと不安な表情と翳りを見せる瞳に、いとも簡単に毒気を抜かれて自分自身を射抜かれたような錯覚まで起こす。……ああもう、すき、だ。
「……いやだとは、思ってないけど、」
「ああ」
「女の人を頼るなら、わたしだけにして……」
ぽろっと口から漏れるわがまま。
それに満足そうに口角を上げたいつみ先輩は、「はじめからお前だけだろ?」なんて言いながら抱きしめてくれて。
いつもの香りについ安心してしまったけど。
……ちょっと待ってわたし!落ち着いて!