【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「……それを完成させられる研究者を、

この国はふたりも抱えてる。皮肉なことに」



「……南々ちゃんの、両親って。

もし作ろうと思えば、完成させられるんだろ?」



完成させてしまえば、それこそ永遠に平和だった。

人質なんてそんな運命を、南々ちゃんは背負わなくてもよかった。



それでもあえて苦しい道をふたりが選んでくれたから、結果としては良いように解決したけれど。

……それが本当に解決しているわけではない。



「ああ。

……実際には10年かからずとも完成させられたらしい。あのふたりの頭の中には、それを完成させるまでの設計図がもう入ってる」



「………」



あえて、進んでいないように装っていた。

長引くことで解決方法が見つかるわけではないが、そうすることで、ひとりでも多くの命を救えるように。




「どうやって解決するつもり?」



「珠王の研究施設があるのは何も日本だけじゃない。

……だから南々瀬の両親には、海外に移住してもらうことになってる。それで少なからず時間稼ぎはできるからな」



これは南々瀬の両親が言い出したことだ、と。

そう付け加えて、いっちゃんがため息を吐いた。



「問題は、南々瀬の方だ」



「………」



「あいつにはまだ言ってねえけど、ここ最近南々瀬は確実に"つけられてる"。

さすがにこの短期間じゃ手出しできねえだろうからまだ泳がせてる上に、下手に接触して刺激してもまずいからな。護衛もつけてねえけど」



時間の問題、か……



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