【完】こちら王宮学園生徒会執行部



兄貴も端から返事なんて期待してなかったんだろう。

「行ってくるわ」とだけ言って、あっさり部屋を出ていった。ほかの奴らはまだ雑魚寝中。



……ああ、怠い。

どうせ俺の部屋があるんなら、ちゃんと部屋のベッドで寝ればよかった。



このマンションは3LDKらしく、ひとつは兄貴の部屋、もうひとつはいくみの部屋。

そこにどうして俺の部屋を作ったのかは知らないけど。……春休みにも実は1回だけ、泊まりに来た。



別に兄貴のことが好きで来たわけじゃない。

親が再婚して引っ越すことになったから、その荷造りをして兄貴たちが住んでた家に行ったけど。



段ボールの量が多かったせいで、どうしてもその日俺の寝るスペースを確保できなくて。

……いや、正確には、スペースはあった。



だけど段ボールに囲まれて寝るなんていう儀式みたいなことしたくないでしょ?

それなら兄貴の家に泊めてもらったほうが良いでしょ?どうせ俺の部屋あるんだし。



という消去法で兄貴の家に泊まった。

だから着替えだとか最低限必要なものは置いてあって。




「………」



絶対必要じゃないけど、あったほうが良いからっていう理由で、たぶん兄貴が揃えておいてくれたんだろうなって物もいくつかある。

なんだかんだ言って、あの人は面倒見が良い。



着替えだけ取って風呂に向かえば、浴槽にお湯は張られていない。

どうせならゆっくり浸かりたかったなとわがままなことを思いながら、身体に残る倦怠感をお湯で流す。



「だっる……」



寝不足でトレーニングとかキツい。

昨日さっさと寝てやればよかった。



トレーナーに怒られたらどうしてくれるんだ。



勝手に脳内で八つ当たりしながら熱いお湯を浴びて冷水を浴びれば、すこしは目も覚める。

冷えた身体をもう一度お湯であたためて、風呂から上がったけど。



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