【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「……意味わかんない」



「それならそれでいい」



「……なんで俺に優しくすんの」



その答えなんて、ずっと知ってた。

……俺と兄貴は、別に仲が良いわけじゃない。



でも、ほんとは、仲が悪いわけじゃなかった。

俺がただ一方的に敬遠していただけで。



「そんなの、お前が俺の弟だからだろ」



俺と兄貴の仲が悪く見えていたのは、それはただの、兄貴の優しさでしかなかった。

俺が一方的に嫌っていることを、知ってたから。




……俺が遠慮なく嫌えるように、それに合わせて嫌いなフリをしてくれた、兄貴の優しさ。

気づいてたのに、気づかないフリをしてた。



「……俺は兄貴のこときらいだよ」



「だろうな。言われなくても知ってる」



「……でも、」



ばかなのは、俺だけ。

容姿しか似てる部分がないって。……言い換えれば、俺らは容姿以外の何もかもが、違うのに。



「俺の兄貴は一生兄貴以外にいないよ」



めずらしく目を見張った兄貴に、思わず笑った。



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