【完】こちら王宮学園生徒会執行部



顔をそらしても、笑ってるだけ。

車の中で飛ぶように流れる景色をながめながら、こうやって俺はいくつ物事を見逃してきたんだろうかとぼんやり考える。



過去の感傷に浸ったところで、

もう戻れはしないと知っているけれど。



「あれ、否定はしないんだ?」



「………」



「おーい、NANAちゃん?」



「その呼び方やめて。

……俺だって自分のこと素直だなんて思ってないよ」



ツンデレではないと信じたいけど、ひねくれてるし。

もうちょっと素直だったらよかったのに、って、自分で思うこともあるけど。




「いいよ、NANAはそのまんまで」



「………」



「素直じゃないところも可愛いんだし」



俺はこの性格、嫌いじゃない。

だって。もし素直だったら、俺は今頃芸能人にはなっていないし、きっとこの場にはいないでしょ?



「ちなみに南々瀬ちゃんのことは?」



「……吹っ切れたよ。

吹っ切れたっていうか、それ以上に幸せになって欲しいって思ってるから」



……それに。

たとえ俺がこんな性格だろうと、俺の好きな人たちは。絶対に見放さずにいてくれるんだって、わかったから、ね。



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