黒猫
第一章

季節外れの転校生





本格的な冬の寒さが身を掠める


思わず「さむっ」と零し、マフラーを巻きなおした




家から徒歩15分の近さにある学校を選んだのはやはり正解だったと思いながら、通学路を歩く



「おはよ〜」

「あ、おはよ!今日は一段と寒いね…」

「ほんとそれっ!…あ、その手袋!!」

「あ、これ?えへへ…彼氏からのちょっと早いクリスマスプレゼント…!」

「えーーいいなぁ、めっちゃ可愛いよ~!」



同じ制服を着た学生たちの浮ついた話を聞きながら、くだらないなと思う


まあこのお年頃彼氏だ何だと浮つくのはもはや仕方ない。それに加えてこの季節か。


ヒュッとまた風が吹いてふるっと身体を震わせた。


「はやく学校行こう…」


まだ彼氏の話で盛り上がる女達の横をさっと足早に追い抜いて、学校に向かう足を早めた。





< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop