気付けば、君の腕の中。


何度も息を吸っては吐き出して。


…よし、絢華に話しかけよう。

今の自分の気持ちに嘘をついてはいけない。


絢華と同じクラスになれたのは、本当に心の底から嬉しかった。

これから一年間は同じクラスなのだ。


教室の扉を開くと、俺は絢華を探して―、ピシリと体が固まったかのように動けなくなった。


あの、五十嵐が……。


昔住んでいた家の近所で、ガキ大将と名づけられた彼が…。



絢華の頭を愛しそうに撫でているなんて、俺は悪夢でも見ているのだろうか。


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