気付けば、君の腕の中。


おれらしくもないメールに、アイツならば妹が打ったと気づきそう…、いや気づかない。

だって、妹がいることを教えていないからだ。

仕方なくスケジュールを確認して、その日が雨であることを願った。


まあ、おれは雨なんて降らないと分かっていたけど、普通に照る照る坊主を逆さにしたり、家の前に塩(?)を置いて、兎に角遊ぶのを取りやめてほしかった。



…晴天の空でその日を迎えて、おれは黒いコートを羽織り、はあ、とため息を零した。


待ち合わせ場所に向かうと、おれを見てピシリと固まるアイツ。

そんな怯えるくらいならおれを誘うなよ…。


あー…、アイツが男友達以前に、彼女は作れても友達は作れないことを思い出した。


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