気付けば、君の腕の中。


また、もどかしい。

こういう時に上手く言えたらいいのに。


「…凜くん、本当のタラシの人は無自覚なんだよ。

罪悪感とか沸かないし、むしろ取っ替え引っ替え女の子と付き合うから…。

だから、その凜くんは優しいと思う!」


こんな言葉でいいのかな、なんてモヤモヤしながら考えていたら―。

少し距離を空けたところにいた凜くんが、腕を伸ばしてあたしとの距離を0にした。



「り、ん…」

「ごめん、何でかなあ。何で、絢華は俺の言って欲しい言葉をくれるんだろう…」


じんわりと肩が濡れる。

再び凜くんの腕の中に閉じ込められたあたしは、ゆっくりと背中を撫でてあげることしか出来ない。


…此処は学校で、誰が見ているかも分からないのに。

突き放せないあたしがいた―。


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