気付けば、君の腕の中。


後ろを歩く凜くんたちも、よそよそしくてあまりデートをしているようには見えない。

…桃にとっては凜くんが初めての彼氏だ。

クラスが別れてしまってからは、あまり話す機会がなくて寂しかった。


だけど、凜くんのおかげでまた話せることが出来たのに…桃、楽しめてるかな。


「…じゃ、まずはお化け屋敷でいいんじゃねえの」

「えっ…!?」


五十嵐くんが向かっていたのは、県内でも怖いと噂されているお化け屋敷だったようだ。


唖然とするあたしを置いて、さっさと入ろうとする五十嵐くん。


「あ、あたしはやめておこうかな…。
ホラー系見ると、夜眠れなくて…」

「お、俺もそうしようかな…」

「じゃあ私行ってくるよ」


この流れでお化け屋敷は無しに―、と思ったけど、予想外なことに桃が手を挙げた。


驚くあたしと凜くん、そして五十嵐くんも珍しそうに桃を見ていた。

< 92 / 445 >

この作品をシェア

pagetop