この恋は、きみの嘘からはじまった。
彼氏と花火大会なんて初めてだし、どうしたら良いのかわからない。
5時電に如月くんが乗るから、私もその時間に合わせて最寄り駅に行く。
如月くんが私のとこの駅まで来てくれるのは初めてだ。
今日行く祭りは学校とは反対のほうだから、そうなるのは必然なんだけど。
「緊張するなぁ……」
さっき電車に乗ったってメッセージが届いていた。
私ももう家を出なければならない。
白地に赤やピンクの花が描かれた浴衣を着て、髪は巻いてアップにしてかんざしをした。
荷物は最低限必要なものを巾着に入れる。
「琴ちゃん、もう行くんでしょ?」
「行く!
けど、変じゃない?」
「かわいいよ。
今度はうちに連れてきてなさいね」
「っ!」
「じゃあ車に乗って!
遅れちゃうわよ」
お母さんには彼氏ができたことは言ってないのに、すでにバレてしまっている。
私の態度で気づいちゃうんだから、母親ってすごい。
子どものこと見てないようでよく見てるんだなって思った。