記憶の中の記憶
どうして、良人がそんな事言ったのか、分からない。

分からないのに、私は真意をつかれた気がして、ドキドキしていた。

「そんな事……ない……」

「本当?」

「本当。だって、車椅子のまま結婚式するの?」

何気ない質問に、良人は上を向いて、考え中。

「それはそうだ。最低でも、車椅子から降りなきゃな。」

「そうだよ、良人。」

私がリハビリ室に通って、歩けるようになったのと同じように、良人もリハビリ室に通っている。


「こんにちは。津田さん。」

「こんにちは。今日もお願いします。」

「はい、こちらこそ。」

リハビリの先生は、私と同じ先生だ。

「市田さんも、元気になられましたね。」

「先生の、お陰です。」

知ってる人が先生であるのは、ある意味安心する。

「先生、珠姫はどのくらいで、歩けるようになったんですか?」

良人は、リハビリをしながら先生に質問した。
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