記憶の中の記憶
“ああ”っと返事をして、賢人から離れた。

「ごめんなさい。」

「いや、気にしなくていいよ。」

私がちらっと、賢人を見ると、彼は何もかも受け入れてくれているかのように、笑ってくれる。

「じゃあ、仕事行ってくる。」

「うん……いってらっしゃい。」

私は、賢人に手を振った。


賢人の車が、駐車場から出て行った事を確認して、私はソファに腰かけた。

引きずっている足。

何かを思い出そうとする度に、痛くなる頭。

賢人は、私は仕事をしていないと、ストレスになるっ言って言った。

でも、こんなんじゃ。

反って、周りのお荷物になってしまう。


私はため息をつきながら、ソファに置いてあった求人雑誌を、テーブルの上に投げ捨てた。
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