ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
「朱鳥、お熱高いから、冷えピタ貼ろうね」

コクン

北斗が帰ってから、かなり素直になった朱鳥。

北斗に気を使ってんのか、もしくは北斗に弱みを見せないようにしていたのか……

北斗ならきっと後者だろうって言うだろうな。

そう考えるとまた胸が痛む。

「どこ辛い?教えて。」

抱っこしながら、そう問うと朱鳥は

「……痛い…」

「どこが?」

「あたま……」

「そっかそっか。頭痛いんだね。……熱下げるのと頭痛いの治す薬使う?注射か座薬になっちゃうけど……」

「や!!!!…痛いの、やぁ……」

注射、座薬 その言葉を出した途端朱鳥は一気に目に涙をため、ボロボロとこぼした。

「じゃあ、辛いまんまだけどいい?」

「やぁ」

「注射しよ?ちょっと痛いけど、早く効くし楽になれるよ?」

「ちゅーしゃ、やなの!!痛いのやだあ」

今のまま辛いのも嫌、けど注射も嫌

まあ、痛くないで治してあげられるのが一番だけど……

「朱鳥、ちょっと我慢しよ?ほんとにすぐ終わるから、ね?このままだったら、ずっと辛いまんまだよ?いい?」

「やあぁ」

「じゃあ、ちょっとだけ我慢しよ?5秒で終わるから。」

「………………ゃぁ」

さっきよりも、熱が上がったのか、心做しかさっきより辛そうで、声も弱々しい。

俺は、一度朱鳥をソファに寝かせてから、部屋に医療用バッグを取りに行った。
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