トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
知らない間に涙が溢れて、身体中が熱くて仕方がなかった。



「刺激が強すぎた?」


ふいに、柔らかな男性の声が聞こえて我に返る。振り向くと、困ったような笑みを浮かべた男の人がこちらを見ている。



「すみません、私、あの…!」



慌てて涙を拭いて立ち上がろうとすると、



「びっくりさせてごめん。慌てなくていいよ。拓真の妹さんでしょ。」



柔和な笑顔で動作を遮られる。もう一度ソファに座るように促された。



しかし、視線が低くなると自然と正面にあるモニターに視線が向いてしまう。兄と、知らない美しい女性がベッドに映し出されるモニターに。
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