トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「うわっ…… ちょっと待て何を言ってる!?」


そう言いって墨汁まみれになりながら、慌てて拭き取っている。この男がセクシーだなんて、何の冗談なんだ。



「いやいや、お前自分が思っているより感情がただ漏れだから、取り繕わなくて良いぞ。



晴れて兄妹から恋人に昇格か?



ほらほら、お兄さんに話してごらん?出来るだけ詳しく知りたいなぁ!」



つい、からかい口調で聞いてみれば、思いがけずに沈んだ表情で、重たい返事が返ってきた。



「そんなことには、ならない。この先も、ずっと。俺が瑞希を異性として好きになるなんて、あってはいけないんだ。」



沈鬱な面持ちの拓真に、だんだんとイライラする自分を感じる。



「このヘタレめ」
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